代表取締役

​発明家

青木 久明Hisaaki Aoki

 私は長年建築業界で「世の中に無いモノづくり」をテーマに、石材、セラミック、金属、ガラス、木材など、様々な素材を生かした建築装飾材(内外装の床壁用建材)の開発を行っております。私のモノづくりの原点は良くも悪くも小さい頃のいろいろな遊びの中の”学び”にあったと思っています。私の家の隣が大工さんの作業場で、毎日”トントントン”と木材をノミで刻んだり、鉋(かんな/材木の表面を削ってなめらかにする道具)をかける “キーコーキーコー”という何とも不思議な音に「何をしているのだろう」という好奇心からよくおじさん達の仕事ぶりを遠巻きに見ていました。そして「これ、もらってもいーい?」と木材の端材(子供にとっては宝物/木のイイ匂いがする)を物色してはヘンテコな工作をこしらえるのに夢中でした。またある時はこんな悪さをしちゃいました、ある日の夜中に親の目を盗んで石油ストーブの燃料を抜き取り自作の紙製熱気球(石油燃料)を飛ばして屋根の上で燃え上がり危うく火事を出しそうになった”事件”です。家族の中で私は名前ではなく”技師長”といういわゆる渾名で呼ばれ、それはいつも時計やラジオなどの機械類を壊しては組み立てていたことに由来しています。やがて上京し平凡な学生 (商学部)生活に入ると、何故か少年時代とは無縁な建築美に興味を持ち、学業とは全く違う洋館や名建築(明治大正期)巡りに没頭するようになりました。このきっかけとなったのは、あるアルバイトで横浜山手西洋館の「エリスマン邸」を見てその美しさに魅了されたからだだと記憶しています。気づいてみると建築装飾材販売の仕事について早30年、特に「石材・モザイクタイルのことなら青木に聞け」とありがたい称号を拝受するようになりました。

 さて、専門の建材についての簡単な考察ですが、現在普及している建築材料は天然素材製品から塩ビボードやビニール壁紙などの化学製品に大きく転換してしまい味気の無い画一的なものになっています。これら化学製品の効用はプレハブ住宅(反意語→在来工法/木造建築)に使われる機能性重視の内装装飾部材に代表される「統一規格、大量生産型のローコスト製品」です。その結果日本の住宅建築は、世代を超えて代々受け継がれる高耐久木造住宅を作る使命を捨ててスクラップアンドビルド型住宅化になってしまいました。本来人間は機能を超えて「 Natural」つまり「人にやさしい・心地よい」などの感性や感覚的なものを生まれながらにDNAとして持っているものです。その意味で私が手がける建材はこれからも天然素材を活かした手作業による唯一無二のモノづくりになります。

 
私の敬愛するモザイク作家、植田薫さんの素敵な詩をご紹介します。

『ずーっとつづくかたち』
石のかけらを紡いでかたちにする
見えるものと感じるもののあいだで
ゆらぎ、ただよう心地よさ
カンカンと石を割る行為はドキッドキッという鼓動にも似ている
ずーっと生まれる前からつづく鼓動のように
カンカンと割る
ずーっとつづける
かけらをつづける
ずーっとつづける
かたちをつづける
(詩/植田 薫)